約 1,929,009 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4674.html
前ページ次ページルイズの魔龍伝 3.使い魔ゼロの学園生活 目を覚ましたゼロが目にしたのは朝焼けが窓に差し込んでいる見知らぬ部屋だった。 ベッドで静かに寝息を立てている少女を目にし自分の今の状況を改めて認識する。 「(そうだったな、俺はこの娘に召喚されてここへ…)」 「んにゅ…クック…ベリーパイ…おいしいわぁ…もっと持ってきなさいよ…ガンダム…」 「…全く良い気なもんだな、このお嬢様は」 それに合わせるかのように寝る前に交わした会話が蘇って来た。 “下着の洗濯”、あまり乗り気しない頼みではあったがやらなかったらそれはそれで騒がれるに違いない。 どうせ子供の着るものだし早い内に済ませて朝の鍛錬でもしようと思い立ったゼロは 剣を片手に、もう片手に下着を掴んでルイズの部屋をそっと後にした。 「…洗濯する場所なんて聞いてないぞ」 が、学園内でルイズに教えてもらった場所を転々としながらゼロは早々に迷っていた。 トリスティン魔法学院で働くメイドの朝は早い。 日も昇らぬ内に起床し、掃除洗濯から貴族達の朝食の準備の支度までまるで戦争のように 総勢でバタバタとこなす。そんな朝の争いの少し前、水を汲みに空の桶を持って走る少女が一人。 ここに仕えるメイドの一人、シエスタである。 「お水を汲んで…洗い物をまとめて…」 「すまないがちょっといいか?」 「あ、はい…ぃいっ!?」 今日の仕事の口にしながら水汲み場まで駆けていたシエスタが振り向くと 標準サイズに比べてはやけに小さいゴーレム(の、ような何か)が立っていた。 人の形を模しているのは何となく分かるが2~2.5頭身と相当に縮められていて まるで子供が遊ぶ組み立て式の人形のような、そんなイメージがした。 「衣服の洗い場を探しているのだが……」 「洗い物ですね、もしよければ私にお任せくださいませんか? この後洗濯物をまとめて洗うので、使い魔さんのご主人のお名前さえ言ってくだされば後で 私がお部屋までお届けしますわ。」 知らない洗い場まで行って女性の下着を洗うという未知の領域の仕事を任されたゼロにとって これは渡りに船であった。 「すまないが…その…これを」 「はい!承りましたわ!」 ゼロが恥ずかしそうにしながらシエスタへ手にした下着を渡し、笑顔で受け取るシエスタ。 が、このメイドの話し振りから一つの疑問が浮き上がる。 「(洗濯・掃除・その他雑用というのは普通使い魔が行うものでは…ないよな、うん)」 昨晩一緒に食事をした使い魔達が思い出されるが、どう考えても火を吹くドラゴンだの 浮いてる目玉だの一般庶務に使うには手に余るどころか部屋が壊れそうな面子ばかりだ。 「ルイズ…俺は召使いか何かなのか…」 「あの…ひょっとしてミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」 「あぁ、そうだが?」 「昨日の事なのに“ヴァリエールの小さなゴーレム”ともう噂になって私達も聞き及んでますわ」 「…へ?」 「皆は笑ってますけど、とても奥ゆかしいのですね。私ちょっと驚きました」 「え、ちょっ」 「それでは私は仕事に戻りますので失礼しますねゴーレムさん」 笑顔のシエスタはそう言うと足早にまた走り去っていった。 「俺…ゴーレムじゃないのに…トホホ…」 朝から何かに負けたような気分に打ちひしがれたゼロであった。 「…フゥッ、ハッ!」 噴水の近くで黙々と剣を振るい朝の鍛錬に打ち込むゼロ。 手にしている剣はかつて彼が手にしていた剣ではない、旅の途中で手に入れた普通の剣である。 彼の相棒は全てを終わらせた後戦友に預けた。 傷つき、全ての力を失った相棒をこれ以上手にする事も、使う事もない。 何より亡き父が残した唯一の形見であったからだ。 ゼロがルイズの部屋に戻るとルイズがふくれっ面でベッドに腰掛けていた。 「あぁ、おはようルイズ。ちょっと剣の鍛錬に」 「使い魔なら起こしなさいよぶぁかーーーーーーーーーー!!」 朝の挨拶は怒号から始まった。 「まったくいつもの調子で起きちゃったじゃないのよ!そこのクローゼットの一番下から下着!」 「え?」 「私に一式着せるのも使い魔の仕事!早くしなさいよ!」 とりあえず下着を出してルイズに渡し、ネグリジェを脱ごうとしているルイズに気づいて 慌て後ろを向きつつ制服を取る。 「服!」 そのままルイズの方へ腕だけ伸ばし制服を渡そうとするが 「着せて」 の一言で遮られた。 朝起こさなかった事とルイズの機嫌の悪さがあり仕方なくルイズに制服を着せてゆくゼロ。 「普通、使い魔に服を着させるもんじゃないんじゃないのか?」 「いいもんアンタ喋れて手足が使える使い魔だし」 「……次からは自分でやれ」 着替えが終わった後は手早く自分の鎧を着けて、共に部屋を後にした。 「あらぁ~、おはようゼロのル・イ・ズ」 「…おはようキュルケ」 部屋を出た二人の目の前に一人の女性が立っていた、長身に燃えるような赤い色の長髪、褐色の肌。 ルイズと同じ制服を着ているが上のボタンはしめられずそこから豊満な胸の谷間が見える。 「で、それが話題の“ヴァリエールの小さなゴーレム”ってわけね~ふぅ~ん」 キュルケがゼロをじろじろと見る。 「何ていう名前なの?」 「俺はゼr」 「こいつはガンダムっていうのよ!うん!ガンダム!」 ぜロが名前を言いかけた所でルイズが割り込んで名前をガンダムだという事にしてくる。 異様なまでに「ゼロ」と呼ばれたくないその態度がゼロとしては少々気にかかっていた。 「ガンダムねぇ…変わった名前だしおもちゃみたい」 「なっ!」 「なんですってぇこのおっぱいオバケ!」 驚くゼロと憤慨するルイズをよそに自信満々な態度で 「私の使い魔見てみるぅ?フレイム~」 と呼ぶとのそっ、とキュルケの後ろから赤い大トカゲが出てきた。 それは昨夜ゼロに肉をあげようとしたあのトカゲ。 きゅるきゅると鳴きながら近寄ってきたフレイムの頭をゼロが撫でる。 「お前か、よしよし」 「…何でガンダムがキュルケの使い魔の事を知ってんのよ」 「昨日飯を食べていたらこいつが肉をくれようとした」 「あらぁ~ご主人様と違って使い魔同士仲良くやってるようじゃな~い?」 キュルケがさも勝ち誇ったような顔でルイズに満面の笑みを見せる。 「…食堂に行くわよ!」 「あ、あぁ」 声を荒げながら足早に去るルイズを追ってゼロも後を追いかけて行った。 「うちのフレイムがそこまで懐くなんてあのゴーレム、何なのかしら…」 しかも今飯って…ゴーレムってご飯食べないわよね?」 「きゅる…きゅるきゅる」 「全くヴァリエール家の使い魔がツェルプストー家の使い魔から 情けをかけられるなんて恥よ!罰として朝食は抜き!」 「理不尽すぎるぞ!」 「いい事?我がヴァリエール家と憎きツェルプストー家の因縁はそれは長きに渡るものよ!」 と、食堂まで歩きながらその因縁とやらを話すルイズ。 耳が痛くなる思いをしながら食堂まで歩いたが、入り口前でルイズがご機嫌斜めに 「さっきも言ったけど朝食抜きだからアンタはここまで」 と言い放った。 「…やはり召喚された時に学院から出た方が良かったな」 空腹が身に染みるのを我慢しつつ、食堂入り口に突っ立っているゼロであった。 授業の時間になり、ゼロは教室の後ろの壁にもたれかかって様子を見ていた。 何人かの生徒がこちらを見ているのが少しうっとおしかったが生徒の方を一睨みすると そそくさと席に向き直る。 「(…俺を何だと思ってるんだ)」 ゼロの横にはフレイムが寝ていた他に、教室に入れるぐらいの中型の使い魔が暇そうにしていた。 窓の外を見ると教室に入りきらない大きな竜(ルイズに聞く所によると風竜というらしい)が 佇んでおり、教室の様子を横目で伺っている。 「…確かにこの使い魔の中では俺は目立つ、か」 生徒がこちらを伺うのは“ゼロのルイズが召喚した変な使い魔”というのが もっぱらの理由であったのにはゼロは気づいていなかった。 「皆さん、おはようございます」 教室に入ってきた中年のふくよかな女性、シュヴルーズの声が響く。 「春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に 様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 後ろに陣取った使い魔を次々と眺めるシュヴルーズの目がゼロに留まった。 「おや、珍しい使い魔ですねミス・ヴァリエール」 ルイズ以外の生徒から一斉に笑い声が上がる。 「出来損ないのゴーレムじゃ仕方がねーよなー!」 「うるさいわね風邪っぴき!」 「俺は風邪っぴきじゃなくて“風上”だ!ろくに召喚できないゼロの癖に!」 「ミス・シュヴルーズ!このうるさい風邪っぴきに注意して下さい!」 「喧嘩両成敗です」 シュヴルーズが杖を振るうと、ルイズ、そしてルイズと口論していた微笑みデブな男の子、マリコルヌの 口に赤土が一瞬でふさがった。 「罰としてこの状態で授業を受けてもらいます」 赤土を剥がす二人をよそにシュヴルーズの授業が始まった。 授業内容は年度最初の授業、という事でごく初歩的なこの世界における 属性の概要から始まっていた。 「『土』系統の魔法は……この魔法がなければ重要な金属も……皆さんの生活に密接に関係……」 「(生産・加工・建設・農業…魔法が産業の根幹まで関わってるとはな… なるほど、魔法が使える貴族がここまで権力を持つのも無理は無い)」 「(そういえばルイズが魔法を使っているのを見た事が無いな…)」 シュヴルーズの講義を聴きながらゼロはルイズの事を思い返していた。 魔法が使えるのが貴族、あのプライドの高い性格からして誇示の為に多少は使ってもよさそうなのだが 彼女は最初の召喚以外魔法を使っていないのだ。 「(…ま、これぐらいなら聞いても怒られないかな)」 ゼロは近くにいたルイズにこっそりと近寄って疑問をぶつけてみる事にした。 「ルイズ」 「何よ授業中に」 「俺を召喚してから魔法を使ってないよな、何か魔法を使わない理由でもあるのか?」 「アンタには関係ないわよ!」 「ミス・ヴァリエール!使い魔との交流は結構ですがそういった事は後でお願いします」 「すっ、すみませんミス・シュヴルーズ!」 ゼロの質問に思わず語気を荒げたルイズにシュヴルーズの注意が入った。 「では、次に土系統の基礎的な魔法、“錬金”に話を移しましょう」 授業の内容が“錬金”に移る。石を金属に変えるといった魔法でシュヴルーズが実演として 石を真鍮に変えてみせた。 「では…さっきおしゃべりをしていたミス・ヴァリエール、貴女に実際に錬金をしてもらいます」 その言葉を発した途端、教室の空気が一瞬止まった。 「ミス・シュヴルーズ!ルイズに錬金を行わせるのは止めておいた方が良いかと思われます!」 一番最初に口を開いたのはキュルケだった。いつもの軽口ではない、真剣味を帯びた一言。 「そうですミス・シュヴルーズ!ルイズに魔法を扱わせてはなりません!」 「彼女では荷が重過ぎます!」 「ルイズが錬金だなんて絶対無理ですムリムリムリムリかたつむりです!」 等と、次から次へとルイズの錬金に対する警告が周りの生徒から飛び出す。 「ミス・ヴァリエールは大変努力をなされてると聞きました、誰にだって得手不得手がありますから 多少の不出来など気にしなくて結構です。さぁ、やってごらんなさい」 席を立ったルイズが教壇の前に立ち、目の前に置かれた石ころに対して杖を構える。 ここは見守っておきたいゼロだったがその過程までに全ての生徒が椅子の下に隠れたり 席を立って後ろの方の机に退避している様子がかなり気になっていた。 「(…何でここまで大げさな反応なんだ?)」 先ほどの生徒の反応ぶりから今までの馬鹿にしたそぶりは感じられない、確実に“何か”あると 読んだゼロは教室の一番後ろ、入り口近くまで移動してルイズを見据える。 「(杞憂であれば…)」 「ではミス・ヴァリエール、この石を錬金で金属に変えてごらんなさい」 ルイズが呪文を唱えて構えた杖を振り下ろしたその瞬間、まばゆい閃光と轟音と共に石が爆ぜた。 爆発は教室全体に及び入り口からは黒煙がもうもうと立ち上がっていた。 「敵か!?」 ゼロは咄嗟にその場に屈んだのと、ルイズから離れていたためさほど被害は無かった。 爆発の衝撃で暴れる他の使い魔達をよそに、ゼロが立ち上がりながら背中の剣に手をかける。 が、目の前の光景は爆発によって所々崩れた教室と、隠れてジッと動かない生徒達 そして黒板の前に倒れて伸びているシュヴルーズと 教壇の前で傲岸不遜といった感じで腕を組むルイズの姿だけだけであった。 「ちょ~っと、失敗したみたいね」 いつもの調子で言い放つルイズ。 「ふざけるな!どこがちょっとだゼロのルイズ!」 「貴女が魔法を使うといつもこうではありませんの!?」 「今まで成功した試しが無いじゃないか確率ゼロのルイズ!」 「俺の使い魔がアッー!」 隠れていた他の生徒達が猛然とルイズに抗議していた。 「(…“ゼロ”、か)」 ゼロはルイズがゼロと呼ばれている理由と、自分をゼロと呼ばない理由をようやっと理解していた。 「…」 「…」 ボロボロになった教室でゼロとルイズが黙々と片づけをしていた。 シュヴルーズが再起不能になったため授業は中止、魔法を使ったルイズがその責を負い 罰として魔法を使わないでゼロと片づけをしていたのである。もっとも、魔法を使えばこうなので 必然的に自力でどうにかするしかないのは自明の理なのだが。 ゼロは破片や使い物にならない椅子や机を外へ運び出しては新品のものと取替え ルイズは無事だった道具を雑巾で拭いていた。 「主人の問題は使い魔の問題」とゼロも巻き込まれた訳ではあるが ゼロはあまり抗議する気にはなれなかった。無言ではあるが彼女の顔からは悔しさが見て取れたからである。 「ルイズ、この机は何処に置けば…」 「なんで…」 「え?」 「なんで何も言わないのよ…」 ルイズが机を拭きながら唐突に聞いてきた。今まで無言だっただけに少しドキリとするゼロ。 「その…だな…」 「分かったでしょ?私がゼロって呼ぶのも呼ばれるのも嫌な理由」 ボロボロの衣服も相まってかルイズの放つ言葉が痛々しく聞こえる。 「…俺は気にしてはいない、俺をガンダムと呼びたいならそう呼べばいい」 「嘘よ…どうせ心の中では見下してるんでしょ?魔法も使えない、貴族の出来損ないだって」 「ならもっと研鑽を重ねればいい、笑う奴は放っておけ」 「そうやって来たけど…でも…魔法だけは駄目だった…一杯勉強しても、知識を目一杯覚えても… 魔法は応えてくれなかったわ!いつも爆発して、失敗して、ゼロって…」 机を拭く手は止まっておりルイズは体を震わせていた。話している内につい感情的になり 胸の内を、今までの自分を目の前の使い魔に吐露していた。 「ルイズ」 「放っておいてよ!使い魔をやめたいならさっさとここから出てけばいいじゃない! どうせゼロよ!私には何もないのよ!」 こういった癇癪には慣れておらず、どうにもルイズを扱い損ねているゼロであった。 「俺の剣の流派は雷龍剣(サンダーソード)っていう流派なんだ」 「いきなり何よ」 「雷龍剣ってのは一子相伝、つまり継承する人が一人だけだ。」 「…効率悪いのね」 「まぁ、な。そして継承者には技と共に専用の剣も受け継がれる。 それでその継承者を決める戦いってのがあって俺はもう一人の継承者候補と戦ったんだ。 だが俺はそいつに負けてた。なのに最終的に継承者になったのは負けてた俺だったんだよ」 「何でよ」 「相手が言うには“あの剣がお前を選んだ”からなんだそうな、それで相手が辞退した。」 「剣が人を選ぶって…インテリジェンスソードじゃあるまいし」 「さてね」 「で、今の話が何なのよ」 「えーっとだな、うん、今は魔法が使えないからといって決して劣っている訳じゃあない。 実は凄い力秘めているのかもしれないからな、うん」 「で?」 「でだな…その…剣が人を選ぶように使い魔だって人を選ぶと思うんだ。 別に嫌味じゃない、俺がお前に呼ばれたのも何か因果があっての事だろうと俺は考える。 だからだな…あー…せっかく召喚したんだ、俺を信じろ。話ぐらいなら聞いてやるから…」 「もしかして私の事を…慰めるつもりで?」 「あ、あぁ…」 「…ったく、全然慰めになってないじゃないのよ」 たどたどしく話すゼロの姿を見て完全に飽きれきったルイズ。 その姿を見てゼロはとりあえず一安心していた。 「今のはちょっとからかっただけよ、アンタの姿が馬鹿らしくてもう演技する気にもなれないわ」 「ま、そのくらい元気なら涙ぐらいは拭いておくんだな」 「おっ、女はねぇ!嘘泣きが得意なの!だからこれも嘘泣き!」 そう言ってブラウスの袖で顔をぐしぐしと拭いた後、ルイズはいつもの調子に戻っていた。 「あとはやっておくから、ルイズは部屋に戻って着替えたらどうだ? 流石にその格好は俺の目から見てもよろしくない」 「言われなくても着替えるわよ!もう!」 色んなところがボロボロになった服に気づいたルイズは机を拭いた後さっさと教室を出て行った。 「ただのじゃじゃ馬娘かと思えば……やれやれ、複雑だな」 そう呟きながら一人机を運ぶゼロ。とても似つかないものではあったが かつて雷龍剣と共にがむしゃらに父の仇を追っていた自分の姿をルイズに重ねていた。 前ページ次ページルイズの魔龍伝
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2334.html
東方Projectの博麗霊夢が召喚された話 ルイズと無重力巫女さん-01 ルイズと無重力巫女さん-02 ルイズと無重力巫女さん-03 ルイズと無重力巫女さん-04 ルイズと無重力巫女さん-05 ルイズと無重力巫女さん-06 ルイズと無重力巫女さん-07 ルイズと無重力巫女さん-08 ルイズと無重力巫女さん-09 ルイズと無重力巫女さん-10 ルイズと無重力巫女さん-11 ルイズと無重力巫女さん-12 ルイズと無重力巫女さん-13 ルイズと無重力巫女さん-14 ルイズと無重力巫女さん-15 ルイズと無重力巫女さん-16 ルイズと無重力巫女さん-17 ルイズと無重力巫女さん-18 ルイズと無重力巫女さん-19 ルイズと無重力巫女さん-20 ルイズと無重力巫女さん-21 ルイズと無重力巫女さん-22 ルイズと無重力巫女さん-23 ルイズと無重力巫女さん-24 ルイズと無重力巫女さん-25 ルイズと無重力巫女さん-26 ルイズと無重力巫女さん-27 ルイズと無重力巫女さん-28 ルイズと無重力巫女さん-29 ルイズと無重力巫女さん-30-a ルイズと無重力巫女さん-30-b ルイズと無重力巫女さん-31 ルイズと無重力巫女さん-32 ルイズと無重力巫女さん-33-A ルイズと無重力巫女さん-33-B ルイズと無重力巫女さん-34 ルイズと無重力巫女さん-35 ルイズと無重力巫女さん-36-a ルイズと無重力巫女さん-36-b ルイズと無重力巫女さん-37 ルイズと無重力巫女さん-38 ルイズと無重力巫女さん-39 ルイズと無重力巫女さん-40 ルイズと無重力巫女さん-41 ルイズと無重力巫女さん-42 ルイズと無重力巫女さん-43-a ルイズと無重力巫女さん-43-b ルイズと無重力巫女さん-44 ルイズと無重力巫女さん-45 ルイズと無重力巫女さん-46 ルイズと無重力巫女さん-47 ルイズと無重力巫女さん-48 ルイズと無重力巫女さん-49 ルイズと無重力巫女さん-50 ルイズと無重力巫女さん-51 ルイズと無重力巫女さん-52 ルイズと無重力巫女さん-53 ルイズと無重力巫女さん-54 ルイズと無重力巫女さん-55 ルイズと無重力巫女さん-56-a ルイズと無重力巫女さん-56-b ルイズと無重力巫女さん-57-a ルイズと無重力巫女さん-57-b ルイズと無重力巫女さん-58-a ルイズと無重力巫女さん-58-b ルイズと無重力巫女さん-59 ルイズと無重力巫女さん-60-a ルイズと無重力巫女さん-60-b ルイズと無重力巫女さん-61-a ルイズと無重力巫女さん-61-b ルイズと無重力巫女さん-62 ルイズと無重力巫女さん-63 ルイズと無重力巫女さん-64-a ルイズと無重力巫女さん-64-b ルイズと無重力巫女さん-64-c ルイズと無重力巫女さん-65 ルイズと無重力巫女さん-66 ルイズと無重力巫女さん-67 ルイズと無重力巫女さん-68 ルイズと無重力巫女さん-69 ルイズと無重力巫女さん-70 ルイズと無重力巫女さん-71 ルイズと無重力巫女さん-72 ルイズと無重力巫女さん-73 ルイズと無重力巫女さん-74 ルイズと無重力巫女さん-75 ルイズと無重力巫女さん-76 ルイズと無重力巫女さん-77 ルイズと無重力巫女さん-78 ルイズと無重力巫女さん-79 ルイズと無重力巫女さん-80 ルイズと無重力巫女さん-81 ルイズと無重力巫女さん-82 ルイズと無重力巫女さん-83 ルイズと無重力巫女さん-84 ルイズと無重力巫女さん-85 ルイズと無重力巫女さん-86 ルイズと無重力巫女さん-87 ルイズと無重力巫女さん-88 ルイズと無重力巫女さん-89 ルイズと無重力巫女さん-90 ルイズと無重力巫女さん-91 ルイズと無重力巫女さん-92 ルイズと無重力巫女さん-93 ルイズと無重力巫女さん-94-a ルイズと無重力巫女さん-94-b ルイズと無重力巫女さん-95 ルイズと無重力巫女さん-96 ルイズと無重力巫女さん-97 ルイズと無重力巫女さん-98 ルイズと無重力巫女さん-99 ルイズと無重力巫女さん-100
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/813.html
戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (8)虚無の目覚め ウルザの色眼鏡の奥、そこに収められたものからマナが迸り、ルイズへとその奔流が流れ込む。 強大な魔力の放出の余波を受け、ウルザの体も小さく痙攣する。 「そうだ、何もかもを忘れ…一つのことだけを考えるんだ…」 この娘の力を開放する二つの鍵、そのうちの一つを自身のもので代用する。 「それは雑念だ、ファイアーボールなど、使わなくていい…ただ、君の中にあるものを表に出したまえ」 少々強引だが、不完全な形での覚醒であっても構わない。 「そうだ、その中から…取り出すのだ、分離させるのだ、純粋なる力を」 ルイズの焦点の合わぬ瞳がゆっくりと開かれていく。 刹那 閃光が世界を支配する 「――――!っ!ハッ!ハアッ!わ、私、今…!今!今っ!まほ、魔法をっ!」 ―――そうだ、これは私の推測の重要な裏づけになるだろう! ウルザはただ、微笑むのであった。 翌朝、ルイズ、ウルザ、キュルケ、タバサの四人は院長室へ呼び出されていた。 院長室には既に、教員達が召集されていた。 恐る恐る、キュルケが口を開く。 「あ、あの…オールド・オスマン、私達は別に昨日は…」 「今日呼び出したのは、君達が昨日何をしていたかを問う為ではない。君達が、昨日宝物庫で何かを見ていないかを聞くためじゃ」 横にいた、コルベールがウルザの方を一瞥し、話し始めた。 「良いですか?この事はくれぐれも内密にお願いしますよ、皆さん。 実は昨日の夜、宝物庫の一部が破壊され、その中から貴重なマジックアイテムが盗み出されました。犯人は『土くれのフーケ』。最近巷を騒がしている盗賊です。 今日あなた方を呼んだのは、あなた方が荒らされる前の宝物殿に、一番近づいていたからです。」 これには流石のルイズもぎょっとして、慌てて意見する。 「ちょ、ちょっとミスタ・コルベール!それではまるで私達の中に土くれのフーケがいるようではありませんか!」 「いえ、ミス・ヴァリエール。別の生徒が学院から逃げるように去っていった黒いローブの人影を目撃していますから、私達もそうは考えていません。しかし、犯行現場を目撃したとしたらあなた達しかいないのです」 「そんな事言われたって…キュルケ、あんたは何か見た?」 「いいえ、見ていないわ。始祖ブリミルに誓って」 「他の二人はどうかね?何かに気付かなかったね?」 二人も首を左右に振るばかりであった。 「そうですか、分かりました。………しかし、参りました。これで手掛かりは途絶えてしまいました…」 「ミスタ・コルベール。それで、フーケに盗まれたというのはどのようなマジックアイテムなのですか?」 「それは………」 ルイズの質問に対し、コルベールが困ったようにオスマンを見る。 「『禁断の剣』と呼ばれるものじゃ」 「『禁断の剣』?」 「うむ、わしがこの学院の学長になる前、先代の学長の時代以前より学院に保管されておったマジックアイテムじゃ。世界の均衡を崩しかねない強大な力を秘めておると伝えられる品じゃ」 「な、何でそんな危険なものが学院にあるんですか!」 「学院だから、じゃよ、ミス・ヴァリエール。魔法学院に居るのはほとんどがメイジ、それに宝物庫には強力な固定化の魔法がかけられておった。 『禁断の剣』を保管にするに、トリステインでここより適した場所は無いと考えられておったのじゃ。 しかし、その油断を突かれたのぅ、まさか賊に襲われるなど、わしとて夢にも思わんかったからのぅ…」 世界を均衡を崩しかねないマジックアイテム、それが盗まれたこと、そしてその責任の所在が自分達であると追求されることを考えて教員達は青くなるのであった。 「ところで、ミスタ・コルベール、ミス・ロングビルはどこへ行ったのかの?」 「はぁ…それが、朝から姿がなく…」 「この非常時に何をしとるんじゃ…」 「すみません!!遅くなりました!」 噂をすれば何とやら、件のロングビルの登場である。 「ミス・ロングビル!どこへ行っていたのですか!?大変ですぞ!事件ですぞ!」 「申し分かりません!実は…今朝方からの騒ぎを聞きつけて急いで調査をしておりましたの」 「ほほう、流石はミス・ロングビル、仕事が早いのぅ」 「それで、結果は!?」 「はい、フーケの居所が分かりました」 その後、ロングビルの調査によって森の廃屋にフーケが潜伏していることが突き止められたと説明され、『禁断の剣』捜索隊を派遣することになった。 「では、我こそはと思うものは杖を掲げよ」 シーン 「どうした、フーケを捕らえて名をあげようという貴族はおらんのか?」 「ミセス・シュヴルーズ、あなた当直だったのでしょう!?」 「そうですが、ミスタ・ギトーもまともに宿直していました!?」 「そんな事おっしゃるなら、今までだって………!」 「私!やります!」 ここで、誰もが予想しなかった立候補者が現れたのである。 事情を聞くために呼ばれ、そのままなし崩し的に部屋にとどまっていたルイズであった。 すかさずシュヴルーズが反論する。 「あなたは生徒ではありませんか!ここは私達教師に任せて……」 「先生方はどなたも杖を掲げないじゃありませんか!でしたら…私が、私が行きます!」 「そ、それは………」 そこで、教員達は気付いた、この桃色の髪の少女から溢れる自信に。 昨日までのルイズ・ド・ヴァリエールにはなかったもの、それが今のルイズには溢れている。 「ルイズってば、何考えてるのよ……、しょうがないわねぇ――― あたくしも志願します。ヴァリエールには負けられませんわ」 「ツェルプストー、君まで――」 その横ですっと杖を掲げるタバサ。 「え!?タ…タバサ!?あんたはいいのよ?関係無いんだから、こんな馬鹿な事に付き合わなくても」 「私も行く………心配」 「では、この三人、いや四人に頼むとするかの。」 「反対です!生徒達を危険に晒すなんて!」 「じゃあ君が行くかね?」 「い、いえ、私は体調が優れませんので………」 「それに…」 オスマンが視線をタバサに向ける。 「ミス・タバサは”シュヴァリエ”の称号を持つ騎士だと聞いている。この若さでそれを持つ彼女の実力は確実なものじゃ。」 続いてキュルケ。 「ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出身で、彼女の炎の魔法もかなり強力だそうでないか」 そしてルイズ。 「ミス・ヴァリエールは……」 ちらりとその横の使い魔メイジを見やり、元に戻す。 「ミス・ヴァリエールは、数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵の息女で、将来有望なメイジと聞いておる」 ウルザ。 「その使い魔、ミスタ・ウルザはトライアングルメイジだとも聞いておる。 彼の力を持ってすれば、土くれのフーケに遅れを取ることはあるまい」 そして最後に全員に。 「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する!」 「「はい!杖にかけて!」」 私の計画は順調に進んでいる。今度こそ。 ―――ウルザ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/422.html
部屋で身体を拭き着替えを済ませたルイズは、ベッドにうつ伏せになって考えていました。 (おとーさん・・・私を慰めようとしてくれてたのかな・・・) ルイズは貴族として厳しく育てられてきました。その事に恨みも憎しみもありません。なぜなら、貴族として生まれた自分には当然の事だと考えていたからです。 そんなルイズには、あんなに優しく頭を撫でられた事は遠い遠い記憶の中でしかありませんでした。 だからこそ、おとーさんの行動に吃驚しましたし。子ども扱いだと反発したのでした。 (17歳の娘にあの慰め方は無いよね・・・・) そんな事を考えていると激しくドアをノックする音がしました。 「ヴァリエール様、メイドのシエスタです。大変です!!ヴァリエール様の使い魔さんが・・・使い魔さんが・・・」 扉の向こうで涙声で訴えるメイドの声に吃驚したルイズはすぐさま部屋へ引き入れるのでした。 「落ち着いて何があったか話なさい!」 シエスタは涙ながらにこう言いました。 「ギーシュ様とヴァリエール様の使い魔さんが決闘することに・・・」 「何ですって!!!!」 シエスタから事の顛末を聞き、ルイズは決闘を止める為にシエスタと一緒に広場へ走りました。 「大体ギーシュの奴モンモランシーとケティに二股かけて、それがばれたからって何で香水拾ったおとーさんに八つ当たりしてるのよ!!」 ルイズが走りながら文句を言っているとシエスタがこういいました 「使い魔さんは、ギーシュ様から最初は何を言われても何も反論しませんでした。ですが、ヴァリエール様事を言われた途端急に・・・」 「えっ?」 ルイズはそれを聞いて急に立ち止まりシエスタの顔を驚いた様子で見ています。 そして、ルイズはまた走り出しました。 「とにかく止めなきゃ・・・・」 広場に着くとすでにギーシュとおとーさんそして生徒たちの野次馬が揃っていました。 「なんでこんなに集まってるのよ!!」 ルイズは、野次馬を掻き分けなんとかおとーさんの横に出ることが出来ました。 「おとーさん!!決闘なんてやめなさいよ!!」 ルイズの言葉におとーさんは黙って首を振ります。 「ギーシュはバカで女ったらしで二股するような奴だけど、結構強いのよ」 ルイズの台詞を聞いてギーシュは顔を引きつらせながら髪をかきあげこう言いました。 「ミス・ヴァリエール、随分な言い草だね」 「間違ってないでしょ?? それに、決闘は禁止されているはずよ」 ギーシュは青筋を立てながらこう言いました。 「それは貴族同士の話だろう?貴族と使い魔なら問題ないさ。それにもう止められないよ!!」 ルイズは止めることが出来ないと諦めました。 「おとーさん、決闘はどちらかが降参するまでだから。後、貴族は杖を落としたら負けだからね」 そして、ルイズはおとーさんにこう声をかけて生徒たちの方へ向かいました。 「おとーさん、がんばって・・・」 ギーシュは錬金で一体のワルキューレを作り出し 「僕はメイジだ!!だから魔法で戦う。そして、僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュ。 従って、僕が作り出したワルキューレが君のお相手をするよ」 そして、ギーシュは決闘の開始を宣言しました。 ワルキューレは駆け出すとおとーさんに殴りかかります。しかし、ワルキューレの拳がおとーさんに当たる寸前で止まります。 「何っ!!」 ギーシュはギョッとしました。自分はドットクラスでしたが、錬金には自信がありました。そして、ルイズがやっと呼び出した使い魔が相手という事で侮っていたのでした。 その使い魔は、ワルキューレの殴ろうとした右腕を左手で掴むと握りつぶしてしまっていたのでした。そして、右手でワルキューレを殴り飛ばし学院校舎の壁に叩き付けたのでした。呆然としていたギーシュと生徒達の前でおとーさんはこう呟きました。 「おとーさん、本気」 突然おとーさんの左手のルーンが光り始めました。するとどこからとも無く巨大な鎧が出現しおとーさんの身体を包み込みます。 【重装陸戦おとーさんα】 この姿の名前なのですが、ここに居る誰一人として知りませんでした。 しかし、巨大なおとーさんの姿を見て先ほどまでうるさかった生徒達は呆然としています。 ギーシュは叫び声をあげながらワルキューレを6体出現させました。破れかぶれでおとーさんに突撃させましたが。紙くずのように引き千切られて行きます。 その光景に、ギーシュは腰を抜かしてしまい歯をガチガチと震わせています。 おとーさんは6体のワルキューレを片付けるとゆっくりギーシュに歩いていき徐に右腕を振り下ろしました。 その場に居たギーシュを含めた全員が目をそむけました。轟音と共に土ぼこりが舞い上がります。野次馬の生徒達は(ギーシュは死んだ)と思いました。 ギーシュ自身も死を覚悟していましたが不思議と痛みがありません。 (これが死というものなのかな・・・) ギーシュはそう考えながらゆっくり目を開けました。目の前の地面にクレーターの様な大穴が開いていました。そして、目線をあげるといつの間にか元の姿に戻っているおとーさんが居ました。 「謝りなさい」 おとーさんはポツリと呟くと、どこかを見ています。ギーシュが、その方向を見るとモンモランシーとケティそしてルイズが居ました。 「仲良く・・」 ギーシュが再びおとーさんを見ると、おとーさんはそう呟きました。 目を瞑り、深呼吸をして落ち着きを取り戻したギーシュはこう言いました。 「敗者は、勝者に従う。僕はおとーさんに従おう・・・この勝負、僕の負けだ」 その後、ギーシュは三人に対して誠実に謝りました。 「面白い使い魔ね・・・ そう思わない?」 キュルケはタバサにこう言いました。タバサは本を閉じ頷きながら指を差します。 「まるで親子」 タバサの指先には、手をつないで部屋へ戻るルイズとおとーさんの姿がありました・・・
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7749.html
前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その1 ムサシ登場!! そして旅立ち 小規模なクレーターを前にへなへなと崩れ落ちる少女。 傍らには頭髪の寂しい男性、遠巻きに見つめるのはたくさんの少年少女。 その少女は幾度とない失敗により、爆風と嘲笑を浴びていた。 爆風、というのは彼女の発した魔法によるもの。 というのもピンクブロンドの少女、名をルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 名家ヴァリエール家の三女として、その才を遺憾なく発揮……していない生徒の一人である。 彼女の放つ魔法は、全て爆発という現象に現れる。 『開錠』を行えば扉ごと吹き飛ばし、『錬金』を使えば素材を粉微塵に破砕する。 それ故皆からの嘲りを浴び続ける学院生活を送っていた。 そして、長い一年が終わり進級試験、『春の使い魔召喚』の儀。 皆がルイズが再び一年生となるぞ、と囃し立てていた矢先のことだった。 いよいよ順番が最後、ルイズの番になり、杖を構える。 緊張の為か微かに震える手を振りかざし、呪文を唱え振り下ろし……虚空が爆発した。 まただ、ほらみろと嘲笑の声が飛ぶ。 何度となく、その光景が繰り返される。 次第に少女の慎ましやかながら可憐な容姿は土に塗れていく。 教師の静止も振り切り、傷だらけの体を奮い立たせて杖を振りかざした。 彼女の誇りが、諦めることを許さなかった。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ……神聖で美しくそして強力な使い魔よ!」 半ば涙目になりながら詠唱を行う。 決めたのだ。 ここで自分の忌まわしき異名を払拭するのだと。 初めての魔法はここで完成させる! その思いだけで、彼女は体を動かしていた。 「私の呼びかけに……答えてっ!」 杖を振り下ろすと、もう何度も体験した感覚。 目の前が白熱するだけ。 今までにない、一際大きな爆発だった。 いい加減にしろ、驚かせるなと心ない声が飛ぶ。 しかしややあって……皆が、沈黙した。 異様な静けさを感じたルイズが前を向くと、煙に遮られた何者かの陰。 「……やった……」 自分は成功したんだ。 このトリステイン王国の魔法学院に入学してから、ただの一度も成功しなかったこの自分が。 皆に不名誉な二つ名で嘲られ、幾度となく挫けそうになったこの自分が。 皆と同じ魔法を、使えたのだ。 失敗していたら留年となる所だったが、これで再び一年生をやらなくてもいい。 ひどく安堵し、よろよろと立ち上がる。 「……さあ、何なの……?私の、私だけの使い魔!」 期待に小さな胸を膨らませ、埃塗れのブラウスを叩く。 土煙が晴れ、その何者かの姿を初めてその目にした。 何か聞こえる、鳴き声だろうか。 いや、それにしては小さい、よく聞けば穏やかな呼吸音……いや、寝息? 「……子ども?」 驚愕する。 何しろ、目の前にいたのは眠りこけた少年。 小柄なルイズよりさらに頭一つぶんほど小さな少年だった。 しかも、なんともみすぼらしい格好の。 「おい、ぼろを着た子どもだ!」 「ゼロのルイズが物乞いのガキを召喚したぞ!」 「なっ……!」 異変に気がついた生徒達が、召喚対象である少年を見て囃し立てる。 ルイズは頭に血が上りかけたが、しかしよくよく見れば確かに言うとおり。 伸びっぱなしの長髪は頭頂部で束ねてあり、よれよれの上着に足にはボロ靴を履いている。 汚いベルトで留めた見慣れぬ装束を纏い、ひび割れた眼鏡を額にかけていた。 まず、いいところの出ではあるまい。 「おい!失敗したからってその辺の乞食を連れてくるなよー」 「さすがゼロのルイズ」 心無い言葉にきっと振り返るが、言い返すより早くルイズは教師に向けて叫ぶ。 「ミスタ・コルベール、やり直しを……!召喚のやり直しを、させてください!!」 「……残念ですが、それはできません」 「そんな!」 対してコルベールの返答は否定だった。 納得の行かないルイズは尚も迫る。 「人間を使い魔にするなんて、聞いたことも……!」 「だとしてもです。人間であろうと、召喚された以上は契約しなければなりません。 それにこのままではあなたは留年することになってしまいます。私としてもそれはとてもとても悲しいことです」 ルイズの悲痛な訴えにも、教師としてコルベールは首を横に振らざるを得なかった。 この春の召喚の儀式は神聖なもの、やり直しという特例は認められない。 彼女に残された道は、あの少年を使い魔とする他に無いのであった。 聡明な彼女はそのことを重々理解していた。 それ以上食い下がることもなくただただがっくり項垂れることしかできない。 やがて諦めたように、横たわったままの彼女の使い魔となる少年に歩み寄る。 「まったく、どこの子どもよ……なんでこんなチビっこなんかと、私が……」 サラマンダーやら風竜やらの素晴らしい使い魔を目にした後だからか、よけいに落胆は大きい。 やがて大きく溜息をつき、観念したように横たわる少年に顔を近づけた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え我の使い魔と為せ」 唇と唇がそっと触れ合う。 異性とこんなことをするなんて生まれてこのかた初めてだったので、ひどく動揺する。 だが相手は子ども、それにこれは儀式上必要なことだ。 ノーカンノーカンとクールに振舞ってみるも、なんだかほかほかしてきた。 頬が熱くなっていることを自覚する。 自らぽかぽかと頭を叩いていると、少年が突然叫びをあげる。 「うわっちちちちちちぃーーーっ!!!」 「きゃ!」 思わぬ反応に思わずその場から飛び退いてしまうルイズ。 少年は熱の根源であろう左手を抑えて、熱さの余り転げまわっていた。 朱塗りの篭手を外すと息をふうふうと手の甲に当て続ける。 「だ、大丈夫?使い魔のルーンが刻まれているだけだから、すぐに済むわ」 「なんだぁ……?ここは、どこだ……?」 「ふむ、コントラクト・サーヴァントのほうは問題ありませんね。おめでとう」 やがて少年が大人しくなり、自分の手を見て目を見開く。 近くにいたルイズに気がつくときっと向き直り、ぴょんと軽い身のこなしで立ち上がった。 近づいてくるその身体はやはりルイズよりも小さい。 歳のころは10そこそこであろうか、意志が強そうな眉と瞳をこちらに向けた。 「やいお前!ここはどこだっ!おいらに何をしたっ!?」 「なっ……」 「……ああっ、よく見りゃ手にイレズミなんてしやがって!島流しにあった覚えはないぜっ!」 声変わりも澄んでいないであろうよく通る声で騒ぎ立てる。 明らかな年下、それも乞食かなにか身分の低いであろう者に怒鳴られたことに、 ルイズの頭はかっと熱を持った。 「へっ……平民の分際で、貴族にそんな口の聞き方を!」 「何ィ!?」 「ミス・ヴァリエール冷静に。ふむ、珍しいルーンですね」 肩の荷が降りたコルベールは、とりあえず目の前の少年に対する疑問はさて置いておく。 手早く少年のルーンを書き写して、見物していた皆に呼びかけた。 「これにて召喚の儀式は終了です。各自学院に戻るように」 呼びかけるとふわりと宙に浮かび、ここからも見える学院の大きな屋根に向かって飛び立った。 同じく生徒たちも空へと舞い上がるが、意地の悪そうな笑みを浮かべ口々に野次を飛ばす。 「ゼロのルイズ!お前は歩いて来いよ」 「『フライ』も『レビテーション』もロクに使えないんじゃあ仕方ないな!」 嘲笑を浴びるも、今は目の前の少年のことで頭がいっぱいなルイズは振り向きもしない。 しかし少年の方は、空中を見つめて驚いた表情だった。 「あいつら飛びやがった!妖術使いか?」 「……メイジが飛ぶのは当然のことじゃない」 「メイジだかショウワだか知らねえが、いよいよおかしいぜ!ここはどこなんだ?」 「はぁ……とりあえずついてきなさいよ、戻るから」 何も知らない使い魔に、やはり世間にも疎い乞食なのかと頭を抱え込む。 溜息を禁じ得ないが、頭から少しずつ説明してやりながら学院への帰路へついた。 「……でね、あんたは召喚されて、私の使い魔にならなきゃいけないの」 「召喚?おいら、また召喚されちまったってのかっ!?」 また?おかしなことを言うものだ。 そんなにしょっちゅう人間が召喚されるなんて聞いたこともない。 まあ、召喚を理解しているフシは説明が省けて好都合だ。 「物分りがいいじゃない、でね、あんたは私の使い魔として……」 「まあいいや。今度こそとっとと済ませて、こんな世界とはおさらばだぜ」 「ちょちょ、ちょっと。何言ってるのよ」 「ん?」 前言撤回。 自然と帰る流れになったのでルイズは慌てて止める。 この使い魔召喚が理解できていたり放棄する気でいたりといろいろおかしい。 ルイズのフラストレーションが積み上がっていく。 「あんたは私の使い魔をやってもらうのよ!何よおさらばって」 「だから、その用事を済ませりゃ元の世界に戻れるんだろ?」 「元の世界?ああもうわけわからないわね!あんたはずっと使い魔!ずっと!」 「なんだって!?ずっと!?」 「ずっとよ!」 「そんなバカな!」 「知らないわよ!こっちだって、あんたみたいなチビで! ヘンなモミアゲな奴なんか!召喚したくなかったわよ!」 「くっまたそう言われるのかよ!?なんだってんだこのチンチクリン!おてんば!」 「キィィィーーーーッ!」 爆発した。 小さいもの同士がぎゃんぎゃんと騒ぎ立てながら追い掛け回したり小突きあったり。 学院に帰るまで、それは続いた。 「……ぜい、ぜい、ぜい……」 「おい、大丈夫かい?」 「う、うる……さい……ぜんっぜん……大丈夫、よ……」 はたから見れば本当に子供の喧嘩のようなことを年甲斐もなく延々と続けてしまったルイズは、 やがてゼイゼイと息を整えながらルイズは立ち止まる。 少年はしばらく落着くのを待ってくれていたが、溜息をひとつ大きくついた。 「ま、いいや。終わっちまったことをいつまで言ってもしょうがねえ」 「へ?」 「使い魔だかなんだか知らないけど、おいらがやりゃあいいんだろ?」 「あ、ああそう……なによ急に」 実にあっけらかんと了承してくれたのは意外だった。 子供らしく聞き分けなく反発するか勝手にどこかに逃げ出したりするかと思っていたが。 彼は案外、さっぱりした人物だったのかと納得する。 とりあえずこれで留年する心配はなくなった。 「見たところ、空飛んだりなんだりで面白そうな奴らがいっぱいいるみてえだし」 「面白そうな……魔法をそんな言い方しないでよ、そりゃまいっぱいいるわよ」 少年の顔つきが変わる。 先程までの疑心を帯びたそれではない、もっと単純な感情。 心の奥から湧き出るような、原始的で直情的なその感情。 『楽しんで』いる。 ひとつの冒険は終わった。 しかし、彼の冒険が、また始まるのだ。 「妙にワクワクしちまうぜ!」 「……あんた変な奴ね……名前は?」 「人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るもんだぜ」 「……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 少々ムッとしたが、これは正論だ。 若干ぶすっ面で返答する。 大して少年は、立派な髷をガシガシと掻きながら告げた。 後に伝説となる自らの名を。 「おいらはムサシ。よろしくなっ、ルイズ!!」 BRAVE MAGE ルイズ伝 >はじめから 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3147.html
前ページ次ページヘルミーナとルイズ ガリア王国、王都リュティス。 数ある酒場の中でも、中の上といった格付けに入る一軒。 様々な層の平民にお忍びの貴族、まっとうな商売人から人様には言えない仕事に従事するものまで、その客層は多種多様。 そこに旅から帰還したルイズたちの姿があった。 火竜山脈での『竜の舌』採集からは既に四日が経過している。 あれから山を下りて街へ戻った二人はそこで一泊宿をとり、ぐっすり眠ってからリュティスへの帰路についた。 当初はルイズが浴びた竜の血が酷い悪臭を発していたのだが、街に戻り次第それを捨てて新しい服を調達、念入りに湯浴みして香水をつてごまかすこと四日、ようやくその臭いからも解放された。 今ならこうして酒場にいても臭いのせいで目立つということもないだろう。 テーブルを挟んで向かい合っている美女二人。 ちびちびと舐めるようにして酒を飲むルイズと、ゆったりとした動作で時間をかけて杯を呷るヘルミーナ。 別に『祝杯』というわけでもない。 採集へ出かけて帰ってきた日の夜にはこうして酒場に足を向ける、これがこの三年間における二人の日常であった。 二人の錬金術師は現在このリュティスに工房を構えている。 表向きは薬屋として、裏では後ろ暗いマジックアイテムでも用意してみせる何でも屋として。 錬金術というものは何はともあれ金を食う、それがルイズが最初に学んだことだった。 魔法学院をあとにした二人は、道々で適当なアイテムを作ってはそれを売り払いながら路銀を稼ぎ、旅を続けた。 そうして辿り着いたのがガリア王国は王都リュティス。 人口三十万人を誇るハルケギニア随一の大都市、そこに二人は工房を据えることにした。 人が多く活気もある、これは裏を返せばろくでもない人間も多数集まっているということだ。 ヘルミーナとルイズは最初しばらくの間は宿に腰を据えて、こうして酒場に出入りして依頼人を捜すことを繰り返した。 そうやって一月もたつ頃には、街の大通りから一本入った通りに面した一軒家を借りられるくらいに、纏まった金が集まっていた。 この頃になると既にルイズは、錬金術というものが金になると学んでいた。 無事王都リュティスに工房を構えた二人は、今度は必要な機材を集めるための資金集めに奔走した。 昼間は薬屋として、夜は事情を聞かないで不思議なマジックアイテムを作ってくれる便利屋として、酒場ややってきた顧客を通じて積極的に宣伝を行った。 ヘルミーナの予想通りというかなんというか、ルイズがあっけなく感じてしまうほどに、二人の名は瞬く間にリュティスの裏側へと浸透していった。 何より二人にとって何より幸運であったのは、ガリア王国で常に燻っている政争の存在であった。 事情を詮索せずに、金次第ではどんなアイテムでも作ってくれる店。それは彼らにとっては実に歓迎すべき存在であったのだ。 官憲の手がまわりかけたこともあったが、そのうち何度かが勝手に解決されたことになっていたのは、お互いに持ちつ持たれつの関係を築けたという証左だろうか。 そうやって工房を構え、名前が売れてきてからも、ルイズたちは定期的に酒場に顔を出すことを欠かさなかった。 勿論営業努力という面もあったが、二人の本来の目的は金などではないのだから、その真の意味合いは情報収集にあった。 酒場の客や情報屋からえられる情報、そのうちに少しでも興味が引くものがあれば西へ東へ飛び回るのである。 この日も、新たなる情報と仕事の依頼を求めて顔を出していたルイズとヘルミーナだったが、結果は芳しくなかった。 こうなると特にやることもないルイズは酒を飲むことくらいしか時間をつぶす方法がない。 片手にグラスを持って、あまり美味しそうには見えない飲み方でちびちびと酒を舐める。貴族様が好んで飲むような高級ワインではない、平民も口にするような蒸留酒。 ルイズには酒の味は大して分からなかったが、ヘルミーナに言わせると値段の割には悪くないらしい。 手持ち無沙汰になった左手では手にしたネックレスを弄っていた。 アクセサリーのようなそれも、錬金術師としてルイズが制作したものの一つだった。 一見すると菱の形に整えられた黒い水晶、しかしその正体は錘の形の容器に入れられた黒い液体であった。 暗黒水。錬金術によって作られる毒薬の中でもとびっきりの劇薬である。 並の錬金術師には目にかかることすら適わない、大海原のように奥が深い錬金術の中でもかなり難しい部類に入るそれを、自前で作り出せる程にルイズの腕前は上達していた。 元々勉学に関しては得意な方であったルイズは、明確な目的を備えたことで錬金術という学問において目覚ましい成長を遂げていた。 ヘルミーナが言うには「私ほどじゃないにしろ、あなたも十分に天才ね」とのこと。 「あれ……おめぇ、娘っ子、ルイズ! ルイズじゃねぇか!?」 近くから、どこかで聞いたことがあるような声が聞こえた。 幻聴が聞こえるほどには飲んでいない。ルイズは左右を見渡して声の主の姿を探した。 「おい俺だ! 俺だよ! こっちだこっち!」 ルイズがそちらを向くと、隣でテーブルに突っ伏していびきをたて寝ている男の姿が目に入った。 「また、酒弱くなったのかしら」 元来強い方ではなかったのだが、ザルのヘルミーナに付き合っているうちに、多少は飲めるようになったルイズである。 「そっちじゃねぇ! こっちだよ! テーブルの下だ!」 訝しんだルイズがそちらの方を見てみると、そこには一振りの大剣が転がされていた。 ルイズの中で、やや胡乱になっていた記憶のピースがかちりと嵌る。 「あら、お久しぶりね。デルフリンガー」 だらしなくぐーぐーと寝ている傭兵風の男の足下、そこに転がっていたのはかつての使い魔、あの少年の手にあったインテリジェンスソード、デルフリンガーであった。 当時よりも薄汚れて錆が浮いているようだ、つまりは今の持ち主はその程度ということなのだろう。 「こんなところじゃぼちぼち話もできねぇ、ちょっと俺をそっちのテーブルの上に置いてくれよ」 「私から話すことなんて一つもないわ」 冷たく切り捨てるルイズ、だがデルフリンガーは食いついた。 「そんなこと言うなよ。おめぇさんだって、あのあとのことが気になるんじゃねぇのか?」 「興味ないわ」 取り付く島もない様子のルイズに、デルフリンガーはそれでも引き下がらない。 「いいから俺をそっちにあげやがれ! こうして出会ったのはきっと相棒の導きなんだよっ!」 大声をあげたデルフリンガーに、酒場中の注目が集まる。自然とその方角にいた二人にも視線が刺さった。 「話くらい別に構わないじゃない」 ヘルミーナから「あまり目立つことはするな」という意味の台詞。 ルイズは嘆息を一つ漏らし、仕方なくといった手つきでデルフリンガーをテーブルの上へと置いた。 「いやぁ、それにしても久しぶりだな娘っ子!……って、もうそんな歳でもねぇのか。嬢ちゃんって呼んだ方が良いか?」 「別に。呼び方なんて何だって良いわ」 その声を聞くのも不愉快だというふうにそっぽを向いてルイズはグラスの中身を舐めた。 「つれねぇなぁ……以前はもう少し付き合いが良かったぜ」 「そういうあんたは変わりないようね。凄く気に触るわ」 「そりゃあ、俺はインテリジェンスソードだかんね。ちょっとやそっとじゃ変わらねぇよ」 カタカタと柄が鳴る、ルイズはこれがこの剣が笑うときの仕草であったことを思い出した。 「お前さんは……随分と変わったみたいだな」 ルイズはつまらなそうな顔のまま、デルフリンガーの言うことをじっと聞いていた。 遮る声が入らなかったことを続けても構わないと受け取ったのか、デルフリンガーは言葉を続けた。 「背丈も伸びたみたいだし、ぺたんぺたんだった胸もちったあ膨らんだみたいじゃねぇか。何よりそう、……美人になったよ。もしも相棒が生きてりゃ、きっと見惚れてたと思うぜ」 ガシャン という音が響いた。 酒場を満たしていた喧噪がピタリと止み、一瞬の静寂が世界を支配する。 ルイズはこのとき初めて店内に竪琴を奏でている奏者がいることに気がついた。 客たちの視線が視線が一斉に音の方向へと向く。そこにはテーブルにグラスを勢いよく降ろしたルイズの姿。 その表情は先ほどまでと変わらぬ無表情だったが、凍えるような冷たさを秘めたものになっていた。 静けさはいつまでも続かない。水が低いところに流れ落ちるようにして、すぐに人々の発する騒音に飲み込まれ、取って代わられた。 人々はもう先ほどまでの静寂など忘れたように、飲んで唄って馬鹿話に花を咲かせている。 ただ一つ、ルイズたちの座るテーブルのある一角を除いて。 「……悪かったよ。その服で、気づくべきだった」 ルイズの身につけた黒い服、それが喪服であることに気づけなかったのは彼らしくない迂闊であった。 陶器でできた仮面でも被っているように冷たく非人間的な無表情をしたルイズに、デルフリンガーが詫びを入れる。 「……」 「すまねぇ」 デルフリンガーにとって何とも気まずい沈黙が舞い降りた。 何も喋らないルイズであったが、その無言はむしろデルフリンガーに息苦しい重圧となってのしかかる。 厨房で作られた美味しそうな香りを放つ料理を運ぼうとしていた給仕が、避けて通った。 すえたような臭いを放つ平民の酔っぱらい二人組が、そばを横切ろうとして思い直す。 男のいない席で酒を飲んでいる美女二人を見つけた優男が、声をかけようか考えて結局諦めた。 そういったある種の『触れてはいけない空気』の底に、ルイズたちのテーブルは沈み込んでいった。 「辛気くさくていけねぇ! 話題を変えるぜ娘っ子。それで、あのあとのことはちったあ聞いてんのかい?」 耐えかねたのか、わざとらしいほど明るい声でデルフリンガーが次の話題を提供した。結局呼び名は以前のまま『娘っ子』で通すことにしたらしい。 彼なりの気遣いなのだろうが、それすらも今のルイズには気に入らなかった。 「さっきも言ったけど、そんなことに興味はないわ。知らなくたって別に私は困らないもの」 「んじゃそれでも構わねぇよ。俺が勝手に喋る、お前さんはそれを聞く。これでどうだ?」 「……勝手にすれば」 ルイズはテーブルにあった酒瓶を手にとって、中身をグラスへと注いだ。 舐めるようにして飲んでいたはずなのに、いつの間にかグラスの中は空になっていた。 「お前さんたちがいなくなっちまって、学院はもう大騒ぎだったんだぜ。特に姉っ子二人の慌てようったら……」 そう語り始めたデルフリンガーの昔話は、ルイズにとっては知っている事実と、予想できる範囲の出来事の、実につまらない内容であった。 手紙も残さず消えた名家の子女と怪しい女。二人の失踪は役人によって連れの女による誘拐と判断され、即刻トリステイン中にルイズの似顔絵と背格好、連れの女の人相などが書かれた手配書がまわされた。 しかし彼女たちの行方はようとして知れず、有力な手がかりがつかめないまま時間だけが経過した。 その先の春期休暇、夏期休暇にはルイズの学友たち、キュルケ、タバサ、ギーシュ、モンモランシーによって遠隔地や都市を巡る自力による捜索も行われたらしい。 それでも、彼女たちの学院卒業までに集めることができた情報といえば「それらしい人影がガリア方面に向かう馬車に乗った」という目撃証言だけだったそうだ。 そうして一年と少しの時間が過ぎ、ルイズの同窓たちは卒業を迎え、それぞれの進路へ旅立っていった。 エレオノールとキュルケたち、それにコルベールの嘆願でそのままにされていた寮の部屋も、彼女らの卒業と共に片づけられ、今では別の生徒が使っているそうだ。 同時、休学扱いとなっていたルイズの学籍も正式に退学となり、学院にはルイズが在学していたという痕跡は何もなくなった。 書類の上ではルイズの所持品ということになっていたデルフリンガーにはこのとき、エレオノールに引き取られてヴァリエール家の所有になるか、コルベールが身受けして学院の備品となり、引き続き居残るかの選択肢が与えられた。 そして、結局デルフリンガーが選んだのは第三の選択肢。 デルフリンガーはエレオノールに自分を武器屋に売却して欲しいと頼み込んだ。 どこか一カ所に留まるよりも、世界中を行き来する誰かの手に渡れば、もしかすると再びルイズに出会える日が来るかもしれない。 何よりも自分は剣だ、武器だ。屋敷の倉庫や学院の研究室に放置されるのは、自分の在り方じゃない。 例え持ち主を失っても、次の持ち主の手に渡り振るわれることこそが自分の在り様なのだと、デルフリンガーはエレオノールを説得したらしい。 結果、エレオノールはデルフリンガーの言う通りに彼を武器屋へ売却した。 そうして半年、ついに買い手がついたデルフリンガーは、新たな持ち主の剣となった。 その持ち主とやらが、今ルイズたちの隣のテーブルで気持ちよさそうに寝ているこの男らしい。 「それにしても、ガリアにいたってのは驚いたぜ。それに印象も随分変わっててよ、オデレータオデレータ」 黙ってデルフリンガーの話を聞いていたルイズ。先ほど継ぎ足したはずのグラスの中身はもう半分になっていた。 「馬鹿ね。トリステインなんて探し回っても見つかるわけないじゃない」 ルイズはつまらなそうにそう漏らすと、テーブルの上に置かれたアイスペールから、大きめの氷を取り出してグラスに入れた。 この店の目玉は、店からのサービスとして出される『氷』にある。 普通は高級な酒場で貴族が馬鹿みたいな金額を払ってワインを頼んだ際にボトルクーラーに入れられて出てくる氷。それをこの店ではどんな客にでも、平民でも貴族でも、分け隔てなく出しているのだ。 勿論そのための追加の料金などはとらない。他の店と同じ程度の料金で、きちんとした口にできる氷が出てくるのである。 それには当然ながらからくりがある。 この店にあって他の店にないもの、それがルイズたちの作った製氷器の存在である。 錬金術の研究と応用、そして実践。その上でたまたま完成した製氷器、特に自分たちには使い道のないそれを、ヘルミーナの言い分でこの店に売却したのだ。 それ以来、酒場は連日満員御礼。結果としてルイズとヘルミーナは酒場の店長から、様々な面での便宜を図ってもらえるようになったのである。 「まあ、無事で何よりだ。のたれ死んでやいないか心配したんだぜ」 「……ふぅん」 グラスを手元で揺らすと、中で氷が転がって澄んだ音がした。 別に酒が好きというわけでもない。 ただ、酒を飲んで、やがてその後にやってくる酩酊感は嫌いではなかった。 そういう意味においては、今口にしているそれはワインなどよりもよほど適している。 けれど、今日はなんだか気持ちよく酔えそうになかった。 「まあ、お前さんも色々あったみたいやね」 「そう?」 「見てりゃ分かる」 色々あった、と言われてルイズは自嘲気味に笑った。 確かに色々なことがあった、命を狙われたこともあったし死にかけたこともあった。 錬金術の習得はとても楽しいことだったし、自分の作り出したものが何か成果をあげたときは確かに嬉しかった。 けれど、同時に何もかもが空虚だった。 その空虚の中心には常に一人の少年の存在。彼が隣にいないという、ただそれだけのことで何もかもが色あせて感じてしまう。 刹那的な快楽に身を委ねてみるというのも考えたが、そんなことをしても願うものはえられないと分かるほどには理性的であった。 結果、こうして酒をちびちびとやり、忘れた気になるというのが専ら最近のルイズの楽しみと言えた。 「その後、誰か昔の知り合いとは会わなかったか?」 「ん……タバサは見かけたわね。二回ほど」 タバサ、というか彼女の所属する『北花壇騎士団』というものが、ガリアの暗部にあって結構な知名度の組織であった。 ガリア王国の裏側の顔役ともいえるそこに所属するかつての学友は、今ではルイズにとって同じ業界に身を置く近くて遠いお隣さんであった。 「へぇ、あの青髪か。元気してたか?」 「さあ? あっちは私のことに気づいてないようだったし、私は別にあの子のことなんてどうでも良いからね。体調のことなんて分かるわけないわ」 そう言って薄く笑う。 二度ほどニアミスしたことがあるが、お互いはっきりと顔を見たわけではない。ことが済んだあとに北花壇騎士団に所属するタバサという名の騎士だったと知っただけだ。 「変わったなぁ……」 「さっきも聞いたわ」 「いや、本当に変わっちまったんだなぁって思ってよ。ルイズ、昔のお前さんはそんなふうに冷たく笑うことなんてなかったのによ」 これもまた、予想の範囲内の反応。 「変わったですって? いいえ、むしろ何も変わっていないわ。私は昔のまま、何も変わらず進み続けているだけよ」 「何がだよ。何が変わってないって言うんだよ……あの頃、相棒と一緒だった頃のお前さんと、今のお前さんの、どこが同じだって言うんだよ!」 最初は抑えるように、そして最後は溜まっていたものを爆発させるようなデルフリンガーの叫び。 それを聞いてもルイズは揺るがず、惑わず、静かに応えた。 「サイトを愛しているわ」 「……あ?」 「私はまだ、ちゃんとサイトを愛しているわ。あんたたちとは違う、私はサイトを忘れてないしサイトを諦めてもいない。この手で必ずサイトを蘇らせるわ。そして言うの、きちんと伝えるの、好きだって伝えるの」 そう、何も変わっていない。 この気持ちだけは真実。例え時間と共に記憶が風化しても、この気持ちだけは変わらない。 この先、何があっても絶対に失ってやるものか。 「そうか……お前さんの時間は、あのときのまま凍っちまってるんだな」 寂しそうに呟いたデルフリンガーの声は、六千年を生きながら快活であったこの剣とも思えない老けた声色だった。 「そっちの嬢ちゃん、嬢ちゃんはどうなんだい?」 一瞬、誰に話を振ったのかを理解できない。人の姿をしていないとこういうときに困る、そう思いつつヘルミーナが答えた。 「あら、私のことかしら、デルフリンガーさん」 「おうよ。えっと……すまねぇ、まだ名前を聞いてなかったな」 「ヘルミーナよ。お喋りな魔剣さん」 「よせやい、さんなんてつられるとむず痒くて仕方ねぇ。デルフリンガーで構わねぇよ」 自分に話題が振られることは予想外であったが、その程度でヘルミーナは微笑を崩さない。 「それで、一体何がどう、なのかしら?」 「ルイズが、こう思っているってことを、お前さんはどう思うってことだよ」 デルフリンガーの柄がカタカタと何度も音をたる、それはまるで感情の高ぶりを暗に主張しているようでもある。 「お前さんはこの三年、この娘っ子と一緒だったんだろ。だったら今を一番分かってるのはお前さんのはずだ。そのお前さんから見てどう思うか、俺はそれを聞きてぇって言ってんだよっ」 最後の方は紛れもなく激昂が含まれていた。 デルフリンガーの怒り。 どうしてルイズがこんなふうになってしまったのか、止められたはずだ、導けたはずだという彼の主張。 「すべてはルイズが自分で決めたことよ。それに私はその在り方が間違ってるとも思わない」 そうしてヘルミーナの脳裏に思い出されたのは、古い記憶。 彼女かつて、封印され禁忌とされた伝説の秘技を用いて、一人のホムンクルスを創造した。 ヘルミーナが十歳の頃である。 彼女はホムンクルスに『クルス』という名を与え、本当の家族のように愛を注いだ。 一緒に街を歩き、風を感じ、木陰で休み、ものを食べ、鳥の囀りを聞き、水の冷たさを感じた。 姉妹のような存在はいたけれど、むしろ彼女はライバルで、ヘルミーナにとっては、自分が作り出したホムンクルスこそが本当の弟のように思えた。 ヘルミーナは本当に、惜しみなく彼に愛を注いだ。 しかし、別離は突然訪れた。 人造生命として創造された彼は、試験管の外では二十日しか生きられなかったのだ。 クルスが動かなくなる直前、二人は最後の、別れの言葉を交わした。 ――クルス、思い出、わすれない。 ――え? ――たのしい。悲しい。うれしい。さみしい。くるしい。クルスはわすれない。ヘルミーナとの思い出、わすれない。 ――ありがとう……。あたしもクルスといっしょにいた時間、忘れない。絶対忘れないよ……。 ――おやすみなさい……クルス。さようなら。 忘れてはいない。いや、生涯忘れることはないだろう。 動かなくなった彼を前に、泣くことしかできなかった自分を覚えてる。 彼を作り出したことを後悔した。彼を助けられなかったことを後悔した。 泣いて泣いて、涙が涸れる程に泣いたそのあとに気がついた。 自分にもっと力があれば、こんなことにはならなかったと。 だから私はそのときに決意した。この身のすべてを錬金術に捧げることを。 この悲しみを忘れない。 そして誓ったのだ、この技術を悲しみとともに伝えていこうと。 ヘルミーナは正面に座るルイズを見た。 彼女の在り方は間違っていない。愛するものを忘れず、それを貫こうとする意志は崇高とも思えた。 故に、ヘルミーナはルイズを導く。 自らの錬金術が、人の悲しみを癒やすことができると信じて。 「彼女がそうしたいと望むなら、私は喜んで手を貸すわ」 その答えを聞いたルイズは顔を上げて、しっかとヘルミーナを見返した。 「私は、このまま錬金術の研究を続けたい。そして、いつかサイトを蘇らせたい。今の私が思うことはそれだけよ」 そのルイズの言葉を聞いて、ヘルミーナは小さく微笑みを返した。 出会ったときにヘルミーナの言葉がルイズに届いたのは、同じ痛みを背負ったもの同士の共感かもしれなかった。 もしそうなら、よく似た二人が近い道を歩むことになったのは必然であったのだろう。 「……そうかい。それじゃあ、俺から言うことはもう何もねぇよ」 サイトと心を通じさせたデルフリンガーは、結局最後までルイズと心を通じ合わせることはなく、その言葉を最後に口をつぐんだ。 デルフリンガーの沈黙で話は終わったと判断し、ルイズは席を立った。 続いてヘルミーナも席を立ち、あとに残されたのはテーブルの上の大剣一振りだけ。 先に店の外へ出たルイズとは逆方向へとヘルミーナは歩いて行き、奥にあるカウンターの前で会計を済ませた。 そうしてルイズの待つ外へと出ようとしたところで、ヘルミーナの背中に向かってデルフリンガーから声が投げかけられた。 「あいつのこと、よろしく頼む!」 その言葉にヘルミーナは何も答えず、扉を開けて夜の街へと消えていった。 「なあ相棒、どうしておめぇさんは一人で逝っちまったんだよ……。娘っ子はよぉ、相棒のために大事だった貴族の名誉や大儀まで捨てて、あんなになってまでお前さんを追いかけてるよ。でもよぅ、こんなのがお前さんの望みだったのかよ……答えてくれよ、相棒……」 虚空へと消えたデルフリンガーの言葉に、応えはなかった。 前ページ次ページヘルミーナとルイズ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1818.html
前ページ仕切るの?ルイズさん 数日後、生徒会結成の許可が下りて正式に認められたトリステイン魔法学院生徒会。 生徒会室は以前あった古い物置を改装した小さな部屋である。 「ここが私達の場所なのね……」 「部屋の手配も改装も全部学院長がやってくれたわ。学院長さまさまね。」 トリステインには桜の木というのはもちろん無いのだがいっそうと生い茂る若葉が春を感じさせた。 「春ね……」 ルイズが春の季節を感じていると、「ルイズ。あんた今日はスカートを履き忘れてないでしょうね? 昨日も一昨日も履き忘れてたわよ。大丈夫?」 「大丈夫よ! 私は日々(胸が)進化し続ける女なのよ!今日はスカートを忘れないようにしっかり確認して……」 そしてルイズはかばんの中から誇らしげに何かを取り出した。 「ちゃんとかばんの中に入れてきたんだもん!」 「ちゃんと履いてこいやボケェェェェェっ!!!」 すぱーん キュルケからハリセンの突っ込みが飛ぶ。 ちなみにハリセンは「お前にぴったりだから」という理由でモロヤマから貰った物らしい。 「はぁ……とりあえずこのことはさっぱり忘れてあげるから仕切りなおして次にいきましょう……」 「ねぇ、キュルケ見て見てー」 「ったく、何なのよそれは……」 「水戸黄門!」 「いいから、早く履きなさいよ! っていうか水戸黄門って何なのよ!わけわかんないわよ!」 「昨日モロヤマが見せてくれたジダイゲキって物らしいのよ。個人的には入浴シーンが一番好きだわ。」 「やあ、わしも入浴シーンは好きじゃぞ。それにしてもあのかげろうお銀は本当にうつくs…」 「ややこしくなるからお前は来るなーーー!!!」 「ひでぶっ」 ルイズの回し蹴りを食らったのは学院長のオールド・オスマンであった。 蹴り倒された表情が妙に嬉しそうだったので、生徒会メンバーはこの前の秘密が事実であると確信した。 「新入生お悩み相談所?」 「そう!右も左もわからない新一年生の不安を少しでも除いてあげようと思ってね。」 キュルケの質問にはきちんと答え 「でも魔法の事だったら一年生とどっこいどっこいっていうかむしろそれい…… あだだだだ!!!割れる割れる割れるぅぅぅ!!!!」 余計な事を言ったギーシュには制裁を加えた。 「というわけで明日から始めるわよ!新入生お悩み相談所!略して『新おじょう』!」 「ちょっとまって。『う』はどっからもってきたの?」 「……屋根裏から」 「タバサ!あんたも余計な事は言わないの!」 翌日― 「さぁて、記念すべき最初の悩めるバカ犬たちは?」 「ハァハァハァハァハァh」 「…オールド・オスマンです。」 「なんで学院長が来てるのよ! …まあ最初の相談だから軽い練習のつもりで。で、お悩みはなんでしょうか、オールド・オスマン?」 「実は君たち女生徒達の意見を聞きたくて……」 「うんうん。」 「おっぱいが大きいのってやっぱり女性にとってはうれしいものなのかな?かな?」 「………」 「…………」 「…………」 「……あれ? じゃあわしはこれd 「ちょっとマテや。まだ悩みの答えを言ってないでしょうが。」 「…イッペン、死ンデミル?」 蒼白とした彼女達の目からはかつてないほどの怒りが見て取れた。 「おっぱいなんてな、おっぱいなんてなぁ……」 「「ちっちゃくてよかった事なんて何一つないんだからああああああ!!!!!」」 ちゅどーん×3 「…この壊れた壁の修理は学院長持ちなのか?」 「あったりまえじゃないのよ。さ、次の相談に行きましょ。」 「……ところでさっきのタバサの台詞って何?」 「ああ、さっきタバサが見てたアニメで女の子がそんな台詞を言ってたらしいよ。」 当のタバサは嬉しそうに杖をくるくる回していた。 最初の相談者は風上のマリコルヌ(風邪っぴきと言ったら突っ込まれた)である。 普段はルイズの事を魔法が使えない「ゼロのルイズ」と言ってからかっているのだが 「クラスのみんながボクの事をデブって言っていじめるんです。なぜなのでしょうか?」 「……まあ、なんていうかその……とりあえずがんばれ!」 ルイズは生徒会長になって適当なことを言って励ますスキルを覚えた。 「多少は予想してたけど、全然まともな相談がないわよねえ……」 「『家族以外に女の子と話す機会がない』『上の部屋から水漏れがする』 『あなたの胸を大きくしてあげたい』……本当にろくな相談がねえな。」 「…類は友を呼ぶ」 「何それ?」 「…さっきモロヤマが教えてくれた。」 「ああ、そうなの。」 それがどんな意味なのかも聞く気になれずルイズは思わず溜息をついた。 「何かこう…甘酸っぱい感じの相談とかってないのかしらねえ……」 「いや、新学期始まって間もないこの時期にそんな相談あるわけないと思うんだけど……」 「あの……私、メイドをやっているシエスタと申します。 ここって恋愛相談にも乗っていただけるのでしょうか?」 「「「「それらしい娘キターーーーーーっ!!!」」」」 その娘はメイドだった。そして妙におっぱいがでかい。 「なんでも聞いて! おっぱいがでかいのは妙にムカつくけど。」 「そんな事でムカつくなよ。」 「実は……昨日の夜ある男の人にその……告白されたんです。」 シエスタは顔を赤らめながらもどこか嬉しそうに話す。 「それでその場でエッチしちゃったんですけど、あの人はその時危険日の私に何回も何回もなk」 「ストーップ! ストーップ! あんたの乳は18禁なのに心も18禁になっちゃだめなんだから!」 わけのわからないことを言っているルイズ。顔はシエスタに負けず劣らずまっかっかだ。 「そんな上級者の悩みなんて知らないわよ! あんたなんかビッチ王国のビッチ姫のビッチメイドになっちゃえばいいんだから!ヴァーカヴァーカ! 帰れ帰れ!!」 「きゃあああああ!」 ルイズはあっというまにシエスタを追い返した。 だが、これがきっかけで事態が急展開していくとは… 「……その時誰も思いもしなかったのです。」 「そこ!妙なナレーション入れないでよ!」 前ページ仕切るの?ルイズさん
https://w.atwiki.jp/th-gotouchi/pages/181.html
ルイズのページ(暫定) 二つ名 魔界人、Demon 出演作品 『怪綺談』2面ボス 使用スペルカード 元ネタっぽいエピソードとか セーラー服 旅行 魔界人 糸目 候補地 大阪府 (足の神様、服部天神宮から、観光の連想より) ご当地絵 ランダム画像表示テスト実施中 (ランダムにしつつ画像サイズ揃える方法募集中) random_imgエラー:存在する画像ファイルを指定してください。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yarupokeex/pages/113.html
__ _, '"´ `丶、 / \ / ,' / / / ヽ `ヽヽ l l j __ // ,イ 、ハヽ }! ハ l l 「 j_从7ヽハ !七大 ` } リ }/ | l Vf゙仡圷/ jl ノィアト、ヘ// / j l l V_ ソ ´ V リ /jイノ ,' ハ ヘ. ' ` ,' l ! / / l ヽ ー ‐ .厶 |ハ //' ∧ 弋ト 、 __ , r<7 l ヽ / / / ∧ Vー、 Kヽ{ ヽ ヽ / /./ /¨} ',__∧_j_l ハ \ }/ ,′ l { / / / ヾ ☆Y ハ X { V r' / / \__j 入xぅ/ \ ヽ l { / / V //∠ ', } ! j/ / ! ∧V _二} ヽ / / / { 〈 l / | j/ -ーソ ノ / / / |ヽ \ l /∠/j rテ' 〃 ( ヽ ,. / / 、__jノ ∧{ / ,/ { _/ ハ `ー彡 / 〃 、__ > / ;>'´ /! ∨ヘ ヾ \ < _ ヽ {{ =ァ 彡< / { く{ ヽ ヽ ユ=―'´ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【ルイズ】 ━[データ] .━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<タイプ> エスパー <分類>?<特性>マルチスケイル(HPが満タンのとき相手の攻撃を半減する)(進化前の特性)━[種族値] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<HP> ? <こうげき> ? <ぼうぎょ> ?<とくこう> ? <とくぼう> ? <すばやさ> ? 【合計】 ?━[わざ] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[ポケパワー] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[解説] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ルイズ・F・ヴァリエールの進化前図鑑未使用につき詳細不明。特殊攻撃が使えないらしい。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/195.html
「マスターよ、朝だ」 男がすやすやと眠る少女に語りかける、しかし少女は一寸も目に光がささらないようグッと閉じようとしといる とりあえず寝ている少女の毛布をはいだ 「な、なによ!なにごと!」 少女が驚きながら上体を起こす 「朝だから起こした」 「はぇ?そっそう・・・・ってあんた誰よ!」 寝ぼけた表情で男に怒鳴る少女、男が口を開く 「ロムだ」 第二話 少女の使い魔となった戦士 「ああ、昨日召喚した使い魔ね」 ロムを召喚した少女、ルイズはベットの上で上がり欠伸をひとつ、そして命令 「服」 ロムは椅子に掛かっている服を取りに行く、さらにルイズは命令する 「下着も取って」 「何処にある」 「そのクローゼットの下、引き出しに入っている」 言われるままに引き出しを明けて適当なのを取りだし制服と共に渡す するとルイズはネグリジェを脱ぎ始めたのでロムは少し慌てて後ろを向く (やれやれ、やはりこれだけは慣れないな。それにしても何故今女性の肌がこんなにも艶やかに見えるんだ・・・?以前はそれほどでもなかったのに・・・・) 兄さん、それは男性のサガです 「じゃあ服を着せて」 「・・・・・・・・」 ロムは目をそらしながらブラウスのボタンを留めていく 二人は着替えが終えて部屋から出ると目の前のドアから女の子が出てくる。長い赤毛で身長が高く、大きく突き出たバストが特徴的な少女、「微熱」のキュルケ・ツェルプストーだ 「おはよう。ルイズ」 「おはよう。キュルケ」 ルイズが嫌そうに返すと 「あらあら、やっぱり昨日の召喚は夢じゃなかったのね」 バカにした口調で言うと 「でも平民ではね~、ふふふ、あっはっはっは!」 含み笑いの後の大笑いのコンボにルイズはプルプル震えている (どうやらこの二人の仲は最悪のようだな・・・・、あまりお互い近づけない方が良いか) 二人の交流を見て学習するロム、するとキュルケの後ろから真っ赤で巨大なトカゲが現れた。尻尾が燃え盛る火で出来ているのが主人の胸の様に目立っている 「これって、サラマンダー?」 ルイズが悔しそうに尋ねた 「そうよー、見てよこの大きい尻尾についた大きな火、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ!惚れ惚れしちゃうわ~」 「あんた『火』属性だもんね」 「ええ。微熱のキュルケですもの、あなたと違って私はちゃんと自分に相応しい使い魔を召喚してるわ、それよりも・・・・あなたの使い魔は」 キュルケはルイズの後ろで手を腰に当てて一部始終を見ていたロムに視線を合わせる 「貴方お名前は?」 「ロム・ストール」 「ロム・ストール?ここらへんでは聞かない名前ね。じゃあお先に、ゼロのルイズ」 炎のような赤髪をかきあげ、サラマンダーと共にキュルケは去っていた (それにしても・・・・、いい男だったわ。) 「くやしー!何なのあの女!自分がサラマンダーを召喚したからって!」 「マスターは俺を召喚したからいいじゃないか」 「よくないわよ!メイジの実力を見るには使い魔を見ろって言うのよ!平民とサラマンダーじゃ犬と狼を比べるのと同じよ!!」 (その例えなら俺が狼だな) 「ところで、彼女、ゼロのルイズと言っていたが、『ゼロ』とは何だ?」 「あだ名よ、嫌いだけど」 ルイズはさっきよりトーンを落として呟いた 「彼女は自分の事を微熱だというのはわかるがマスターは何故ゼロなんだ?」 「うるさいわね、さっさと食堂へ行くわよ」 プンプンしながら奥へ歩いていくルイズ (そういえば昨日も周りの生徒は宙を浮いて移動していたがルイズは歩いていたな。それが関係しているのか?) トリステイン魔法学院の食堂は非常に広く、やたら長いテーブルが3つ並んである 前の椅子に座った先生やメイジが楽しそうに雑談している。 その上豪華な飾り付けがなされていてこの学院の華やかさを物語っている ロムはその物珍しさに周りに目を配り、気が付くとルイズが得意気に言った 「トリステイン魔法学院が魔法だけじゃないのよ。メイジはほぼ全員貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』がモットーのもと、貴族たるべき教育を存分受けるのよ」 ロムはその言葉を聞くと深く頷く。 彼もまた、クロノス族の族長である父の教えより身体だけではなく精神の成長が大切である事を教えられていた 「世界が違えど心の教えは変わらぬのだな」 「何か言った?」 さてロムはここに来て重大な問題に気付く。それは食べ物、エネルギー原の有無である。 もともとマシン生命体はエネルギーカップ、もしくはロムトロンと呼ばれる物でエネルギーを補給するのだが残念ながらこの世界にはどちらも無い。 エネルギーが補給出来ないことは餓死に繋がる・・・・。 「何ずっとパンとにらめっこしているのよ、ひょっとして食べないの?」 「いや・・・・、そうではないが・・・・」 椅子に座って朝食を食べているルイズが床であぐらをかいて皿を睨むロム見下ろして言う 「言っておくけど、渋っても何も出ないから。平民がここに入れる事だけでも珍しいのよ」 仕方がなくパンにかじりつくロム (硬い・・・硬すぎる・・・・、これは食べ物なんかじゃ無い。 こんなものを作った奴の顔を見てみたいな・・・・) などといつもは考えもしない事を心の中で呟き、良く噛んで飲み込む。そして・・・・ (・・・・なんとかなるか) どうやら大丈夫のようである